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住職

お彼岸によせて-RGBを偲ぶ-

御彼岸に入る最中、米最高判事であるルーズ・ベイダー・キンズバーグが87歳で亡くなられたというニュースが全世界に流れました。若者達からも熱狂的な支持を受けた米最高判事。その名の頭文字から、親しみを込めて「RGB」と呼ばれていました。

昨秋、RGBの娘さんであるジェーン・キャロル・キンズバーグ弁護士夫妻を当院へお迎えしました。東京大学での講義の後、奈良・京都を訪れる際に、我々の友人である作曲家・藤家溪子さんを通じて、立ち寄られることになったのです。当寺、RGBのキャリアについて話し合ったことが、先日の事のように思い出されます。

RGBはユダヤ系移民の家庭に生まれ、夫を看病しながら、二人の子を育て、弁護士になられています。当時の常識に阻まれながらも、長く女性の権利向上に尽くされました。昨年、大阪神戸米国総領事館の職員さんとお目にかかった際「RGBの存在なくして、自分たち(女性たち)の今の立場はなかった」という思いを聞かせていただいていました。また、RGBは、女性の権利向上だけではなく、差別が色濃く残る法律によって、女性も男性も不利益を受けると訴え続け、1993年に女性として二人目の最高判事になられました。時代と共に、古い法律のみならず、固定観念も変えていかなくてはならないという主張は、我々の心にも響きます。

我々の日々の暮らしに於いても、これまで思想的に価値があったとされることでも。現代にはそぐわないこともあります。そういったことに対して、気づきや関心を持ち、丁寧に対話を重ね、より良い在り方を導き出していくことは大切です。

仏教に於いても、経典のどこに関心を寄せるかは時代によって異なります。現代に合わない部分においては、正式な見解を見いだせるよう継続した研究は必要です。一方で、仏教は本来柔軟なものであり、変わることで守れることもあると考えます。固定化された観念に縛られることなく、柔軟に対話を通じて導き出していきたいと考えるのは、RGBと思いを一つにするところであります。

RGBが安らかに逝かれることを心よりお祈り申し上げます。

合掌拝

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