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住職

今を生きる -八朔(はっさく)法要-

9月1日の夕刻。當麻の里二上山の麓の大池にて、八朔法要のお勤めをさせて頂きました。もとは八朔の日に営まれていたことから「八朔法要」(施餓鬼法要)とよばれています。水飢饉に苦しむ農民を救済するため大池を開いた願主の遺徳をたたえ、築造工事に尽力された先人の菩提を弔い、さらに恩恵を受ける大池の水に感謝するお勤めです。

葛城市染野大池の東側にある傘堂。その一本柱の建築構造は極めて珍しいもので、大和郡山藩主本多正勝の家来吉弘統家(のりいえ)が、主君の菩提を弔うために延宝(1674)年に建立したと云われます。正式には「影堂」または「位牌堂」と云います。その傍らには元禄9(1696)年に建立された墓標があり、「俗名 吉弘甚左衛門之尉統家」と書かれています。墓標が建立されてから300年以上、この法要は、葛城市今在家、染野、新在家の三カ大字と、観音寺(今在家)、石光寺(染野)、明円寺(新在家)の三カ寺によって連綿と護られてきました。

嘗ては八朔の日に営まれていましたが、いつしか新暦の9月1日になり、さらに多くの方が集まりやすい日曜日へと変わり現在に至ります。八朔(はっさく)とは八月朔日の略で、旧暦の8月1日のことをいいます。新暦では8月25日頃から9月23日頃にあたります。この頃は、早稲の穂が実るので、嘗ては農家の間で初穂を恩人などに贈る風習が古くからあったそうです。

現在は分水が引かれ、昔のような水の苦労は大幅に軽減されたかと思われますが、先人の遺徳に思いを馳せ、また、菩提を弔うために、今も皆さま方のお力によって法要が連綿と受け継がれていることに、また、皆さまと共にお念仏を称えさせていただくご縁に深く感謝しております。 合掌拝

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