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「旅人の琴」奉納 ~しまの文化・芸術活動推進実行委員会~ 対馬の皆さまより

それは中将法如さまの一枚の写真からの始まりでした。

現代音楽作曲家の藤家渓子さん(東京芸術大学大学院修了)が、長崎県「旅人の琴」プロジェクトに関わる視察で奈良に滞在されている最終日のことでした。たまたま開かれた雑誌の一ページに、当院中将法如坐像のお姿が掲載されていたのです。藤家さんは、中将姫さまが「琴の名手」と云われていたことはご存知ではなかったのですが、その一枚の写真に惹かれ、当院へ来られました。その後、ご縁は更に繋がり、藤家さんを通じて、当院は遠く対馬の方々とも深く繋がるようになりました。不思議なこともあるものだと思いながらも、これは偶然ではなく、中将姫さまによる必然的な出会いだったと、今は確信しております。

この度、しまの文化・芸術活動推進実行委員会の皆さまを始め、長崎県、長崎県対馬市、山下和仁さん(ギタリスト)、藤家渓子さん(作曲家)等、多くの方々のご尽力により制作された「古代琴」を奉納頂きました。この琴に込められた皆さま方の想いと共に、当院の寺宝とし、大切にしてまいりたいと思います。

合掌拝
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~「旅人の琴」制作にあたって~
 「万葉集」には792年太宰府長官「大伴旅人」は大和朝廷の要職にあたった藤原房前に梧桐で作られた琴を贈るにあたり歌二首を添えた書状をしたためている。
書状には、琴に関して
「この梧桐製の日本琴(大和琴)は対馬の結石山(ゆひしやま)の孫枝から作られたものです。」
「・・・・良き匠に遭ひてかざりて小琴を為らる。」
「・・・・音の少なき・・・・」
「・・・・膝のへわが枕かむ。」
などの記述があり、これらのことから考えると、結石山の梧桐で作られた日本琴は現在、正倉院に保存されるような2m前後もある琴ではなく、小さく持ち運びに便利で自由に膝の上に載せて弾くことができたが、小型であるために音量が乏しかったと考えられる。
 また、「万葉集」に載せられている和琴については日本固有の楽器で、六弦琴であり、飛鳥時代から奈良時代にかけて膝の上に載せて弾いたといわれている。
 今回奉納した六弦琴は、このような記述を参考にするとともに、世界的ギタリスト「山下和仁」氏の助言、奈良県「春日大社」・「當麻寺護念院」、滋賀県「守山市埋蔵文化センター」・「栗東市博物館」など多方面の方々のご支援のもと制作することができた。
 古代対馬の琴が、今回制作したような形であったか推測の域を出ないが、琴の材料は、対馬上県町(結石山付近)の梧桐(あおぎり)、琴柱には楓を使用し、いにしえの対馬文化を取り入れた琴の完成となった。
【制作】小田忠彦実行委員会(しまの文化・芸術活動推進実行委員会)

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